足跡

好きになったら激重感情しか持てないオタクの自己開示の練習所と備忘録を兼ね備えた場所

拝啓 15年と1ヶ月前の私へ

 

 

2009年3月1日、あの会見を見終わったあなたは、大泣きしていることでしょう。

私のオタク人生において最初にして最大のトラウマができてしまった日。

メジャーデビューから3日しか経ってないのに大好きなグループが終わってしまった日。

信じるとか願うとか、そういう段階の前に「永遠はないから」って突きつけられた日。

ただただつらくて、なにが起きたのか分かりたくなくて、どうしてなのかも、どうしたらいいのかも分からないよね。

理解も納得もしたくないよね。

でも、決まってしまったことをどうにか受け止めて飲み込もうとするしかなくて。

それ以外のやり方が分からなくて。

彼らは喜んでたから応援したくて。

みんなのこと好きだから、応援したくて。

 

でもね、上手くいかないの。

 

まずあなたはこれから7月のライブのチケットを手に入れることはできるけど、啓司さんには会えません。

5月の広島公演で怪我しちゃうの、啓司さん。

だから、あなたがなによりも見たかった、大好きな7人のパフォーマンスを見ることはできません。

初めて行くライブは楽しいよりも寂しさの方が大きいでしょう。

 

その後も彼らの変化を受け入れられてますよって顔をしながら、がんばって応援するし、それと並行して大好きな7人にいつかまた会える日を信じて待ち続けるけど、3代目とSECONDで別れての活動になっちゃうし、その糸はある日プツッと切れて、もうこれ以上、上手に応援できないって思ってしまって、離れることを選んじゃった。

好きだから、嫌いになりたくなくて。

「もう待たなくてもいいんだ」「もう応援しなくていいんだ」っていう安心感を感じてしまうくらい疲れちゃった。

ごめんね。

 

しかもね、離れたあとにはなるんだけど、あなたの大好きな啓司さんはね、ステージから降りちゃうの。

今の私からしてもショックだなーって思う理由で。

悲しかった。

彼のステージ最後の日にインスタに上がったあの7人の集合写真を見て、やっぱりずっと応援していたかったって久々に泣いた。

 

昨日までのあなたには夢がいっぱいあったよね。

ファンクラブができたら入ること、リリイベに行くこと、大きい会場で単独でライブをやること、それに行くこと、彼らを通じて出会った人たちと仲良くなること。

すぐには無理だったかもだけど、進学して生活の自由度が増したら当たり前に全部できると思ってたよね。

永遠なんてないって知る前にずっと応援したいなって、もっと思いたかったよ。



でも15年てね、長いんだよ。

埋めてくれる人たちに出会えるよ。

 

まず、18歳で好きになる芸人さん。

私は初めての就職先で仕事環境に恵まれなくて、生きるモチベーションがなくなりそうになっちゃうんだけど、あのふたりが笑わせてくれて、人生でいちばん美しい景色を見せてくれたから、今でも生きてるよ。

それからその少しあと、ふたりを好きなおかげで大好きで最高な友だちたちとの出会いも待ってるよ。

一緒にお笑いライブ見に行くのはもちろん、それ以外でも楽しいことたくさんたくさん一緒にやってくれて、いつも私の「好き」を見守ってくれる優しい人たちだよ。

 

お笑いのライブにはよく行くようになるけど、いわゆる音楽のライブにはもう行くことはないんだろうなって思うようになります。

友だちが好きなバンドやアイドルに会いに行ってるの、すごく羨ましかった。

だけどあの日、啓司さんに、7人に会いたくて、さみしくて悲しくて悔しくて泣きながら帰った大阪城ホールにまた連れて行ってくれるコンテンツにも出会えるよ。

「ライブ」が楽しい場所だってこともちゃんと思い出せるよ。

 

あとね、これからあなたは自分に無意識に呪いをかけちゃうと思う。

好きだった曲たちを聴いてもつらいだけだって。

7人を好きなことはいつしか「悲しい」の感情と強く紐づいてしまう。

でも、そんな呪いを解いてくれる人にも出会えるよ。

メジャーデビューアルバムの発売日、予約したCDを取りに連れて行ってもらって、うれしくて帰りの車で「この日のことはずっと忘れないんだろうな」って思ったでしょ?

今日をを迎えるまでの応援するワクワクした気持ちは本物だったでしょ?

単独は叶わなかったけど、3代目との合同ライブはね、あったの、行けたの。

夢みたいに幸せな時間だった。

その人の言葉が悲しい思い出だけじゃなかったよって思い出させてくれるし、ずーっとしまい込むことも捨てることもできずにいた彼らへの気持ちに名前をつけてくれるの。

その人のおかげでまた彼らの曲も聴きたいなって思ったときに「好きだったなぁ」って気持ちで聴けるようになるの。

その人も音楽をやっててね、私が2009年の2月25日に感じた幸せをもう一度味あわせてくれるよ。

私の大事な大事な人。



それからね、今の私には大好きなグループがいるの。

この15年間で出会った他の好きなひとたちは、自分が好きなことしてる人を私が勝手に好きでいる感覚がほとんどだったんだけど、なんていうか「応援したい!」って思える人たちなの。

まだ応援し始めて2ヶ月くらいなんだけど、すっごく楽しい。

ファンクラブに入ったり、過去のCDやライブ映像集めたり、歌番組の出番に間に合いたくて定時ダッシュで帰宅したり、バラエティ番組の出演情報チェックして録画しまくったり、リアルタイムで視聴できるときはハッシュタグSNSで盛り上がったり、新曲発売のときのおっきいポスター撮りにタワレコ行ったり、ポップアップストアで公式写真をいっぱい買ってながーいレシートもらったり、雑誌の表紙を飾ったら発売日に買って帰ったりとかね。

15年前と違ってSNSも発達してるから本人からの発信やメンバー同士のやり取りにはしゃいだりもしちゃってね。

きっと昨日までのあなたが「いつか」って夢見てたのに近いかたちで応援できてると思う。

 

でもね、彼ら今日で終わっちゃうんだ。

メンバーが1人抜けて、明日からグループ名が変わるの。

ついでに言うなら最初は元々5人のグループだったのが4人になってるの。

 

彼らのことはね、ここ1年くらいずっと良いグループなんだなぁって思ってた。

惹かれた理由はひとつじゃないんだけど、多分いちばんは5人から4人になったあとも見送った1人のことを大切に思ってるっていうのが遠くから見てても伝わってきたから。

前を向きながら過去も大事に抱き締めるグループなんだって思ったから。

でも私が応援するグループはあの7人が最初で最後だって当たり前みたいに思ってたから、良いなぁって思ってるだけだって思ってた。

 

だけど、今年の1月8日にTwitterのトレンドに並んでる文字列を見た瞬間、あの会見を見たときと同じように心臓の奥から冷たいものがこみ上げてきて、自分でもすごくびっくりした。

これじゃまるで彼らのこと好きになってるみたいって。

表面張力ってあるでしょ?

いつの間にかフチのギリギリまで水は貯まっていて、あまりにも残酷なきっかけとタイミングで零れちゃった。

 

そこから1ヶ月くらいはね、自分がどうしたいのかが分からなくて。

いや本当は分かってたけど、怖くて。

また上手に応援できなくなったらどうしようって。

ていうか今更応援し始めたところでなんになるのかって。

だから最初は遠ざけるつもりだったの。

これ以上、彼らに心を砕くことがないように。

でも零れちゃった水ってもう元には戻れないんだよね。
 

観念して、ぜんぶ承知の上で応援するって決めたの。

大好きな友だちたちも背中を押してくれたから。

3月が終わっても上手に応援できるかどうかはとりあえず二の次にしようって。

だから今はたくさん好きになってたくさん泣こうって。

 

残された時間で彼らはたくさんの言葉を届けてくれたよ。

その中のひとつを伝えるね。

「終わらせることでSexy Zoneは永遠に5人なのは変わらなくなる」って。

 

 

拝啓、15年と1ヶ月前の私。

 

永遠はないからっていう理由での大好きな人たちの変化を受け止め切れずに泣くことしかできなかった私。

 

 

今日、これから私は永遠を手に入れるための終わりを見届けるよ。

さみしいし、上手にできるかどうかが正直やっぱりちょっと怖いけど、明日からの彼らのことも応援したいと思ってる。

12年のうちのたった2ヶ月しか一緒に過ごせなかったけど、そう思わせてくれたくらい素敵な人たちなんだもん。

 



この15年間、しんどい思いをしたくないって理由で、もう「好き」を増やしたくないって思うこともあったよ。

でも、なにかへの「好き」が揺らいだり、見失いそうになったとき、支えてくれるのはいつも他の「好き」だったよ。

だから、今は悲しい気持ちだと思うけど、これから出会えるたくさんの「好き」を大事にして、めいいっぱい楽しんでね。




2024年3月31日、20時より少し前の私より